岐阜県大垣市の行政書士(開業準備中)が契約書、会社設立、相続遺言、在留関係のお悩みに応えます。公認内部監査人としての不正防止体制構築もお手伝いします

事務所概要

行政書士加藤吉美事務所(現在開業準備中)
代表者  加藤吉美
所在地  岐阜県大垣市墨俣町墨俣453
TEL   (受付時間9時~18時)
FAX
mail    お問い合わせはこちらまで
休業日  年末年始 GW、お盆
対象地域 岐阜県西濃地域を重点に

令和8年民法改正案(成年後見制度関係)の閣議決定(速報ベース)

令和8年民法改正案(成年後見制度関係)の閣議決定(速報ベース)

成年後見や遺言をより使いやすい制度にすることを目的に、法律(民法等)の大きな改正が閣議決定されました。令和8年の国会で可決された場合、今後2年半以内に施行される予定です。そもそもの制度の内容の説明が必要ですが、まずは改正案の内容を簡単に説明していきます。なお、このページは成年後見制度関係の改正に関する解説です。

【成年後見関係】法定後見制度の見直し

1.正の趣旨・目的

 新たな成年後見制度は、本人の判断能力で分けていた3類型のうち、「後見人」と「保佐人」を廃止し、「補助人」に一本化。補助制度の  対象範囲を拡大し、本人の意思尊重を徹底しつつ、手続きの柔軟性と利便性を向上させることを目的としています。特に、補助人に与える権限は、遺産分割や不動産売却など個別に判断できるなど、本人の自己決定権を最大限尊重し、個々の状況に応じた最適な支援を提供できる制度を目指します。なお、現行制度を利用している場合は、希望すれば後見人や保佐人による支援を継続できます。

2.どのように変わるのか

 ① 補助開始請求権者の拡大: 精神上の理由で事理弁識能力が不十分な者(本人)、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人等に加え、公正証書で本人が指定した者や検察官も補助開始の審判を請求できるようになります。公正証書による指定には、本人が公証人の前で指定の旨を口述する必要があります。これらにより、請求の機会が増え、より早期に適切な支援が受けられる可能性が高まります。
 ② 本人の同意要件の重視: 本人以外の者が補助開始の審判を請求する場合、本人の同意が原則として必要となります。本人の自己決定権を尊重する制度設計が図られます。
 ③ 審判の同時性: 補助人の同意を要する旨の審判、特定補助人を付する旨の審判、代理権を付与する旨の審判は、補助開始の審判と同時に行うこととされ、手続きの効率化と一貫性が図られます。補助開始の審判を受けた者には、補助人が付されます。
特定の行為への同意権・代理権付与: 預貯金の出入金、借財、訴訟行為など特定の行為について、補助人の同意を要する旨の審判や、補助人に代理権を付与する旨の審判が可能になります。これにより、本人の能力に応じて必要な範囲で支援を受けられるようになります。特定の行為については、日用品の購入など日常生活に関する行為は除外されます。
⑤ 取消権の強化: 同意や許可を得ずに行われた行為は取り消すことができるとされ、本人の権利保護が強化されます。
⑥ 状況変化への柔軟な対応: 補助開始の原因が消滅したり、制度の必要がなくなった場合、家庭裁判所は審判を取り消すことができるため、本人の状況変化に柔軟に対応できます。
補助人の選任基準の明確化: 補助人の選任にあたり、本人の意見、心身の状態、生活・財産状況、補助人候補者の適格性(職業、経歴、利害関係の有無)が詳細に考慮されることで、より適切な補助人が選任されることが期待されます。補助人は、補助事務を行うにあたり、本人の心身の状態に応じて、情報提供や陳述聴取により意向を把握し、尊重しなければなりません。
特定補助人の役割明確化: 特定補助人は、財産調査や郵便物管理の義務を負い、その職務内容が明確化されます。これにより、被補助者の財産保護が強化されます。
死亡後の事務対応: 被補助者の死亡後、必要があれば家庭裁判所の許可を得て、補助人が火葬・埋葬に関する契約の締結や、相続人の意思に反することが明らかでない限り、相続人が財産管理できるようになるまで、相続財産の保存に必要な行為(弁済期到来債務の弁済含む)を行うことができます(一部は家裁の許可要)。これにより、相続人や関係者の負担が軽減され、円滑な死後事務処理が可能になります。             
 ⑩ 解任等:補助人が不正行為をした場合や職務継続が不相当な場合、家庭裁判所は補助監督人、本人、親族、検察官の請求または職権で補助人を解任できます。
 ⑪ 補助人の報酬等:家庭裁判所は、補助事務の内容や補助人、被補助者の資力等を考慮し、被補助者の財産の中から相当な報酬を与えることができます。補助人は、家庭裁判所の定めにより、毎年一定時期に、被補助者の状況等を報告する義務があります。
 ⑫ 特定補助人の事務:特定補助人は、被補助者の財産調査と目録作成を遅滞なく行い、1か月以内に完了させなければなりません。財産調査・目録作成は、補助監督人がいる場合その立会いが必要です。特定補助人による郵便物等の管理について、家庭裁判所の命令があれば、信書送達事業者に対し、期間を定めて、被補助人宛の郵便物等を特定補助人に配達するよう嘱託できます。特定補助人は、受け取った郵便物等を開封・閲覧し、事務に関しないものは速やかに被補助人に交付する義務があります。

法定後見制度の本人等に関する民法の規定

1.正の趣旨・目的

制限行為能力者の保護を強化し、成年後見制度における各制度間での整合性を確保することを目的としています。特に、時効の援用における弱者の権利保護や、代理権消滅事由の明確化、遺言作成機会の拡大を図ります。

2.どのように変わるのか

 ① 時効の完成猶予の拡充: 弱者の権利が不当に失われることが防ぐため、時効期間満了前6か月以内に未成年者や特定補助人を付する旨の審判を受けた者に法定代理人がいない場合、行為能力者となった時または法定代理人就任から6か月間は時効が完成しません。
 ② 代理権の消滅事由への追加: 代理人の死亡や破産手続開始の決定に加え、代理人が特定補助人を付する旨の審判を受けたことも、代理権の消滅事由に追加されました。
 ③ 相続承認・放棄期間の起算点変更: 相続人が未成年者や特定補助人を付する旨の審判を受けた者である場合、相続の承認または放棄をすべき期間は、法定代理人が相続開始を知った時から起算されるようになります。
④ 遺言能力に関する規定の明確化: 特定補助人を付する旨の審判を受けた者が、事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言をするには、医師2人以上の立会いが必要であることが明記され、遺言作成の機会が拡大されます。
⑤ 意思表示の受領能力、特別代理人:意思表示の相手方が意思能力を欠く場合や未成年者、特定補助人を付する旨の審判を受けた者である場合、その意思表示をもって相手方に対抗できない場合があります。事理弁識能力を欠く者に対し、意思表示を受ける者がいない場合、家庭裁判所は申立人の請求により特別代理人を選任できます。

任意後見制度

1.正の趣旨・目的

任意後見制度の利用を促進し、本人の意思尊重をより強化するとともに、法定後見制度(補助制度)との連携を円滑にする目的です。本人の自己決定に基づいた柔軟な後見制度の設計を推進します。

2.どのように変わるのか

 ① 定義の変更と連携強化: 任意後見契約の効力発生の起点が「任意後見監督人の選任」ではなく、「任意後見開始の審判」に変わります。これにより、任意後見と法定後見(補助)との連携がよりスムーズになり、本人の状況に応じた柔軟な制度運用が可能になります。
 ② 任意後見契約の方式: 任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書で作成されなければならず、変更も同様です。
不開始の合意の導入: 本人と任意後見受任者との間で、他の任意後見受任者が欠けるまで任意後見開始の審判をしない旨を公正証書で合意できるようになります。「不開始の合意等(予備的な任意後見受任者)」とは、将来に備えて複数の任意後見契約を結ぶ際に、後見人が就任する優先順位(第一候補、第二候補など)をあらかじめ決めておくための仕組みです。主な内容は以下の通りです。
合意の内容: 本人と任意後見受任者は、契約を結ぶ際、「他に指定している任意後見受任者が死亡などの事由で欠けるまでは、任意後見を開始するための審判を請求できない」という合意をすることができます。
公正証書の義務化: この不開始の合意は、任意後見契約本体と同様に、必ず公正証書によって作成しなければなりません。
裁判手続における制限: この合意がある場合において、第一候補となる「他の受任者」がまだ欠けていない(健在であるなど)ときは、家庭裁判所は任意後見開始の審判をすることができないと定められています。
この仕組みが導入されることで、「まずはAさんに任せたいが、Aさんが対応できなくなった場合には予備としてBさんに任せる」といった、本人の意向に沿った柔軟で確実な後見体制を組むことが可能になります。
④ 任意後見監督人の選任基準の明確化: 任意後見監督人の選任にあたり、本人の意見、心身の状態、利害関係の有無などが詳細に考慮されるようになります。
⑤ 任意後見開始の審判及び任意後見監督人の選任:任意後見契約が登記されており、本人の事理弁識能力が不十分な場合、家庭裁判所は本人、配偶者、親族、任意後見受任者、補助人、補助監督人、または公正証書で本人が指定した者の請求により、任意後見開始の審判をします。任意後見監督人は、任意後見開始の審判時に職権で選任されます。

  • 選任においては、本人の意見、心身の状態、利害関係の有無などが考慮されます。
  • 任意後見契約の制度と補助の制度との関係:任意後見契約が登記されている場合、本人の利益のために特に必要があれば、補助開始の審判の請求権者に任意後見監督人などが加わります。
    本人の意向尊重の強化: 任意後見人は、任意後見事務を行うにあたり、本人の心身の状態に応じて、情報提供や陳述聴取を通じて本人の意向を把握し、尊重しなければなりません。
    ⑦ 任意後見人の解任・契約解除の柔軟化: 任意後見人が不正行為をしたり、職務継続が不相当な場合、家庭裁判所は任意後見人を解任できます。また、任意後見開始の審判前はいつでも契約を解除でき、審判後も正当な事由があれば裁判所の許可を得て解除できます。

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