岐阜県大垣市の行政書士(開業準備中)が契約書、会社設立、相続遺言、在留関係のお悩みに応えます。公認内部監査人としての不正防止体制構築もお手伝いします

事務所概要

行政書士加藤吉美事務所(現在開業準備中)
代表者  加藤吉美
所在地  岐阜県大垣市墨俣町墨俣453
TEL   (受付時間9時~18時)
FAX
mail    お問い合わせはこちらまで
休業日  年末年始 GW、お盆
対象地域 岐阜県西濃地域を重点に

令和8年民法改正案(遺言関係)の閣議決定(速報ベース)

成年後見や遺言をより使いやすい制度にすることを目的に、法律(民法等)の大きな改正が閣議決定されました。令和8年の国会で可決された場合、今後2年半以内に施行される予定です。そもそもの制度の内容の説明が必要ですが、まずは改正案の内容を簡単に説明していきます。なお、このページは遺言関係の改正に関する解説です。

【遺言関係】デジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設

1.正の趣旨・目的

デジタル技術の進展に伴い、遺言作成方法の選択肢を広げ、利便性を向上させることを目的としています。特に、地理的な制約や身体的な負担を軽減し、より多くの人が容易に遺言を作成できる環境を整備することが意図されています。また、遺言書保管制度をデジタル化することで、遺言の真正性を確保しつつ、利用者の負担を軽減することも重要な目的になります。

2.どのように変わるのか

 ①「保管証書遺言」の導入: 従来の自筆証書、公正証書、秘密証書に加え、新たな遺言方式として「保管証書遺言」が加わります。これにより、遺言者は、遺言書保管官の関与のもと、より確実に遺言を作成・保管できるようになります。
 ② デジタル記録・遠隔手続きの活用: 遺言の全文をデジタルで記録したり、書面で作成した場合でもその画像をデジタルデータとして保管したりする運用が可能になります。また、映像と音声の送受信(ビデオ通話など)を用いて、遠隔で本人確認や口述手続きを行うことができるようになるため、遺言書保管所への物理的な出頭が困難な方でも遺言を作成しやすくなります。
相続財産目録の簡略化: 相続財産目録については、遺言書保管官が遺言者に閲覧させるなど一定の措置を講じた場合、遺言者による口述や通訳による申述・自書が不要となることで、遺言作成者の負担が軽減されます。
④ 外国語遺言への対応: 外国語で記載・記録された保管証書遺言の場合、日本語訳の提供と口述時の確認が必須となることで、国際的な利用者のニーズに対応し、手続きの透明性を確保します。
⑤ 遺言書保管制度の拡充: 保管された遺言書に関する閲覧請求や、遺言者の死亡後に相続人等が情報開示を請求できる制度が明確化され、遺言の存在が早期に把握されることで、相続手続きの円滑化が期待されます。

3.ちょこっと補足

①上記した保管証書遺言の方式として、遺言者が遺言の全文(電磁的記録を含む)を記載または記録した証書に対し、署名または法務省令で定める代替措置(電子署名と思われます)を講じ、遺言書保管官(法務局)の前でその全文を口述することが求められます。
②遺言書保管官は、保管証書遺言に係る証書を保管することで効力が発生します。
③口頭で話せない者については、通訳人の通訳または自書により口述に代えることができます。
④相続財産の目録については、遺言書保管官が遺言者に閲覧させるなどの措置を講じる場合、口述や通訳による申述・自書は不要となります。
⑤外国語による保管証書遺言の場合、日本語翻訳文の提供と口述の確認が必要です。
⑥本人確認や口述の手続において、申請人が本人であることの確認、映像と音声の送受信による通話を用いた遠隔手続きも、法務省令で定めるところにより可能です。
⑦保管証書遺言書(書面)および遺言書保管ファイルの記録の閲覧を遺言者が請求できます。
⑧撤回された申請に係る閉鎖遺言書保管ファイルの記録の閲覧も特定の事由がある場合に請求可能です。
⑨相続人等は、遺言書保管官に対し、遺言者の死亡後に保管証書遺言書の保管の有無を証明する書面の交付または電磁的記録の提供、および保管証書遺言書(書面)と保管ファイルの記録の閲覧を請求できます。
⑩保管証書遺言書を保管している旨の通知が相続人等に行われます。
⑪保管された遺言書の検認不要化: 遺言書保管所に保管された遺言書は検認が不要となります。
⑫遺言者は、遺言書保管官に対し、いつでも保管の申請を撤回できます。撤回があった場合、保管証書遺言書(書面)は遺言者に返還され、関連情報は遺言書保管ファイルから消去され、閉鎖遺言書保管ファイルに記録されます。保管申請の撤回があった場合、その保管証書遺言書については、遺言を撤回したものとみなされます。

自筆証書遺言、秘密証書遺言に関する変更

1.正の趣旨・目的

自筆証書遺言や秘密証書遺言の作成において、形式的な要件不備による無効リスクを軽減し、より多くの人が簡易に遺言を作成できることを目指しています。まず、押印という慣習要件を緩和することで、遺言作成のハードルを下げ、遺言の普及を促進する狙いがあります。

2.どのように変わるのか

押印要件の廃止: 遺言者が自書する全文、日付、氏名に加え、これまで必須であった押印が不要となります。
財産目録の簡素化: 財産目録の各葉への押印や、加除訂正時の押印も不要となるため、財産目録の作成や修正がより簡便になります。

遺言者及び証人の押印要件の廃止: 秘密証書遺言の作成時に、遺言者および証人に求められていた押印が不要になります。これにより、手続きが簡素化され、印鑑を所持していない場合などでも遺言を作成しやすくなります。

特別の方式の遺言の方式

1.正の趣旨・目的

緊急性の高い状況における遺言作成の機会を拡大し、デジタル技術を活用して遺言の証拠保全を強化することが目的です。従来の書面による遺言が困難な状況でも、現代の技術を用いて遺言者の最終意思を確実に残せるようにします。

2.どのように変わるのか

対象場面の拡大: 船舶遭難時だけでなく、天災などの「重大かつ急迫の危難」に瀕する状況でも特別な方式の遺言(危急時遺言)が認められるようになります。なお、死亡危急時遺言、船舶遭難者遺言、一般隔絶地遺言および在船者遺言における押印要件が廃止されます。
録音・録画による遺言の導入: 死亡危急時遺言や船舶遭難者遺言において、遺言の状況を録音・録画で同時に記録する方法が新たな遺言方式として認められます。これにより、口頭での遺言の証拠力が大幅に向上し、遺言者の意思がより明確に保全されることが期待されます。
デジタル記録の送信: 船舶遭難者遺言では、口頭での遺言状況を録音・録画し、それをパソコン等の機器により特定の者に送信する方式も認められます。これにより、遠隔地への迅速な意思伝達と証拠の確保が可能になります。

その他の見直し

相続欠格事由の拡充: 遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿といった不正行為に加え、録音・録画されたデジタル記録の不正作成・破棄・隠匿も相続欠格事由となり、デジタル遺言に対する不正行為の抑止効果が高まります。
過料規定の強化: 遺言書等の提出義務違反や検認を経ない遺言の執行、封印された遺言書の無断開封などに対し過料が科されることで、遺言書等の適切な取り扱いと手続きの遵守が促進されます。
遺言撤回規定の明確化: 遺言者が故意に遺言書等を破棄した場合、その部分について遺言を撤回したものとみなされることで、遺言者の意思形成と遺言の有効性が明確になります。

遺言書等の検認の規律
民法第1004条第1項を改正し、遺言書または録音・録画による記録(遺言書等)の保管者は、相続開始後に遅滞なく家庭裁判所に提出し検認を請求する義務が課されます(保管証書遺言など、特定のデジタル遺言については検認が不要です)。
成年被後見人の遺言能力に関する要件緩和: 特定補助人が付されている者が一時的に事理を弁識する能力を回復した時に、医師2人以上の立会いがあれば遺言を作成できるという要件が明確化されます。これにより、判断能力が不安定な状態にある方でも、適切な支援のもとで自己の意思を遺言として残せる機会が増えます。
医師の立会いにおける厳格化: 遺言に立ち会った医師は、遺言書への記載や署名に加え、法務省令で定める署名に代わる措置を講じなければなりません。これは、医師の関与の信頼性を高め、意思能力の確認をより確実にするものです。
証人及び立会人の欠格事由の明確化: 推定相続人、その配偶者、直系血族、受遺者などが遺言の証人または立会人となることができない旨が改めて明確化されます。これは、遺言の公正性を確保し、将来的な紛争のリスクを軽減するために重要です。

行政書士加藤吉美事務所のホームページ

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry

関連する記事はまだありません。