(1) リスクへの対応

リスク度の判定をしましたが、ここから先に進む前に、さらに広い視点を用い、リスクへの対応の基本的な考え方を説明します。
まず下表をご覧ください。

(2) リスク回避

われわれがリスクマネジメントを行う領域は、表でいうと「リスク軽減(低減)」の部分に限定されることに注意してください。
感覚的に理解できると思いますが、Aという行為を実施するに際して、甚大な被害が生じ、その発生可能性も高いと分析されたとします(表の紫色部分)。その場合はAという行為を実施するのではなく、「やらない」ことにより、リスク回避するというのが一番合理的な判断であると思います。やらないものはマネジメントの意味がないということです。

(3) リスク移転

Aという行為について、リスク発生時の影響度、被害額は極めて高いが、発生可能性はかなり低いという場合は、Go判断は出ると思いますが、万が一発生した場合は大変なことになります。しかし、その万が一に過剰なコストをかけるわけにもいきません。
その場合は、保険をかけることで、万が一の事故に備えるということが考えられます。
これをリスク移転と言います。

(4) リスク保有

これは後に述べる残存リスクの許容範囲の考え方に同じところがありますが、リスクが発生しても金額や被害も少なく、発生頻度もかなり低いというとならば、リスクを許容してなりゆきにまかせて実行するということが一般的です。
これをリスク保有といいます。

(5) まとめ

  以上、リスク回避、リスク移転、リスク保有を除いた領域について、われわれはリスクマネジメント活動により、リスク軽減(低減)施策を行っていくのです。

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